シートの概要
| 項目 | 内容 |
| 名称 | COS観察記録シート(研究用)第1.0版 |
| 形式 | PDF・A4縦・4ページ・記入式。架空の場面による記入例(別紙・2ページ)つき |
| 料金・入手 | 無料・登録不要 |
| 利用条件 | CC BY 4.0(クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)。出典を示せば、印刷・共有・改変して利用できます。改変したときはその旨を示してください |
| 公開日 | 2026年11月4日 |
| 発行 | 株式会社DroR |
| 想定する使い手 | 組織行動・組織開発を研究する研究者や大学院生、社外から観察する記録者。授業や研修で事実と解釈を分けて書く練習にも使えます |
3つの分類と、シートで記録すること
シートの見出しは、論文の解説ページ(アトラクター)と同じ表記にし、それぞれに平易な説明を添えています。
- コミュニケーション応答性と承認規範:連絡を受け取った人が「受け取りました」と知らせるまでの時間と、それを自分から知らせるか、促されてから知らせるか。ここでの「承認」は許可や同意ではなく、受け取ったことを知らせること(受領の返事)を指します。チャットなどの依頼を1件ずつ、送信と最初の反応の時刻、反応の種類を記録します。
- 集団場面における発話分布:会議で、立場の違う人のうち誰が話し、誰の発言が取り上げられ、誰が話さないでいるか。1回の会議について、立場の区分ごとの発言の回数と、発言が次の話に取り上げられたかを記録します。
- 負の情報開示への応答:誤りや失敗、問題のある数字が共有されたとき、周りがどう反応したか。1件の出来事について、最初の反応の言葉の要旨と、その後に起きたことを順に記録します。
どの欄でも、個人名は書かず、立場の区分と仮の記号だけを使います。「萎縮」「防衛的」などの読みは解釈の欄にだけ書き、根拠にした事実の番号を添えます。判定や点数をつける欄はありません。
論文に書かれていることと、当社の案
シートの各ページでは、論文に書かれていること(英語の原文と当社の訳、節とページ)を「論文」、当社が今回この用紙のために設計したこと(記録の単位、欄、手順、お願い)を「DroR案」のラベルで分けて示しています。
論文に書かれていること
"COS identifies three observable categories that, taken together, characterize an organizational attractor"(論文 2.1節、p.3)
訳:COS は、合わせて組織のアトラクターを特徴づける、観察できる3つの分類を挙げる。
"These categories are not exhaustive but represent candidate observational markers of attractor state that COS proposes for future empirical validation."(同)
訳:これらの分類は網羅的ではなく、COS が今後の実証的な検証のために提案する、アトラクター状態の観察マーカーの候補である。
当社の案であること
論文が示しているのは「何を観察するか」の3分類までで、記録の単位・数え方・欄の作り方は書かれていません。シートの手順はすべて当社の案です。妥当性・信頼性は検証していません。1つの分類や1回の記録から、組織の状態を結論しないでください。訳は作成者による訳で、論文の公式訳ではありません。
このシートを作った理由
論文は、限界を述べた節で次のように書いています。
"Future research should involve independent observation by researchers with no involvement in intervention design or delivery."(論文 6.3節、p.11)
訳:今後の研究は、介入の設計にも実施にも関わらない研究者による独立した観察を含めるべきである。
論文の著者2名(山中真琴・中森将也)は、論文の掲載時に株式会社DroRに雇用されていました(論文の利益相反の欄:"MY and MN were employed by DroR Corporation.")。論文の記述ではなく当社の事実として、著者2名は現在も当社に所属し、当社は臨床組織科学(COS)に基づく有償の組織開発支援を行っています。当社が介入の設計または実施に関わった組織での、当社側の観察は、この独立した観察には当たりません。本シートは、論文の分類で観察しようとする研究者などが記録の形をそろえられるよう当社が用意した用紙で、当社がこのシートで独立した検証を行うものではありません。
シートには、記録者が介入の設計・実施に関わっているかを書く欄があります。これは記録の立場を残すための欄で、記入しただけで独立した検証になるものではありません。
使わないでほしい場面
シートには、作成者からのお願いとして、次の場面では使わないでほしいことを記載しています。これはライセンス(CC BY 4.0)の条件ではありません。
- 人事評価、昇進・配置の判断、個人の査定や比較
- 特定の人の発言・沈黙・反応を問題として取り上げる材料
- 組織の状態の診断や判定
- 記録の回数を合計した点数づけ、部署の順位づけ
- 観察される人に知らせない記録
あわせて、観察される人への説明と同意の確認欄を設けています。研究に使う場合は、所属機関の倫理審査など必要な手続きを確認してください。このシートはどの機関の倫理審査も受けていません。
研究者の方へ
シートの4ページ目は研究者向けです。論文の3つの検証可能な命題(論文 6.4節)を要約し、論文が命題の測定の候補には3分類を挙げていないこと、一方で論文 4.2節が各技法を続けた場合の予測の例として3分類に当たる変化を論じていること(実証データではない)を、命題ごとに整理しています。
論文の限界として書かれていること(論文 4節の例示は経験的な観察ではなく、枠組みを設計した実践者と同じ人が例を選んだため確証バイアスの条件があること、証拠の基盤が日本の組織に限られること)、引用のしかた、版とライセンスも載せています。シートの記録を命題の検証に使う方法は、論文には示されていません。使う場合は、研究者ご自身の設計としてご判断ください。
引用のしかた
この用紙:株式会社DroR(2026)『COS観察記録シート(研究用)』第1.0版,2026年11月4日.https://dror
論文:Yamanaka, M., & Nakamori, M. (2026). Clinical Organizational Science: An integrative framework for structural intervention in complex organizations. Frontiers in Psychology, 17, 1827324. https://doi
表示の例:「出典:株式会社DroR『COS観察記録シート(研究用)』第1.0版(CC BY 4.0)」。改訂したときは、版番号と変更点をシートに記載します。
お問い合わせ
この用紙について(研究での利用、記録のしかた、改訂の提案)は、お問い合わせフォームで「ご用件のカテゴリ」の「調査・登壇の依頼」を選んでお送りください。記録そのものや個人が分かる情報は送らないでください。論文の内容については、論文に記載の責任著者の連絡先(Makoto Yamanaka、research@dror.co.jp)までお問い合わせください。